日本
浦島太郎
むかしむかし、ある村に、心のやさしい浦島太郎という若者がいました。浦島さんが海辺を通りかかると、子どもたちが大きなカメを捕まえていました。そばによって見てみると、子どもたちがみんなでカメをいじめています。
「おやおや、かわいそうに、逃がしておやりよ。」
「いやだよ。おらたちが、やっと捕まえたんだもの。どうしようと、おらたちの勝手だろ。」
見るとカメは涙をハラハラとこぼしながら、浦島さんを見つめています。浦島さんはお金を取り出すと、子どもたちに差し出して言いました。
「それでは、このお金をあげるから、おじさんにカメを売っておくれ。」
「うん、それならいいよ。」
こうして浦島さんは、子どもたちからカメを受け取ると、
「大丈夫かい? もう、捕まるんじゃないよ。」
と、カメをそっと、海の中へ逃がしてやりました。
さて、それから二・三日たったある日の事、浦島さんが海に出かけて魚を釣っていると、
「・・・浦島さん、・・・浦島さん!」
と、誰かが呼ぶ声がします。
「おや? 誰が呼んでいるのだろう?」
「私ですよ。」
すると海の上に、ひょっこりとカメが頭を出して言いました。
「このあいだは助けていただいて、ありがとうございました。」
「ああ、あの時のカメさん。」
「はい、おかげで命が助かりました。ところで浦島さんは、竜宮へ行ったことがありますか?」
「竜宮? さあ? 竜宮って、どこにあるんだい?」
「海の底です。」
「えっ? 海の底へなんか、行けるのかい?」
「はい。私がお連れしましょう。さあ、背中へ乗ってください。」
師走
柚子饅頭
小麦粉とヤマトイモに、すりおろしたユズの皮を加えて蒸し上げた生地で、餡を包む。冬の味覚、ユズの芳香がほのかに広がる。
クリスマス・イブ
12月24日は、子どもたちにとってはプレゼントをもらえる日、恋人たちにとっては互いの愛を確かめ合うロマンティックな日。日本ではクリスマスに宗教的な色合いは薄い。12月に入ると、街には巨大なクリスマス・ツリーや工夫を凝らしたイルミネーションが現れ、クリスマス・ソングが流れる。
すす払い(大掃除)
今は月末に大掃除をする家が多いが、正月を迎えるために、昔は13日頃から、多くの家庭で1年間のほこりを払い、家の中を掃き清める「すす払い」を行った。掃除だけが目的ではなく、新しい年の厄を祓う神聖な行事でもあった。14日、栃木県の日光山輪王寺でも、仏像に数多くの僧が取りついてすすを払う。
霜月
紅葉
色染めの餡を型抜きして作った、端正な姿の生菓子。秋の深まりを目と舌で味わう。
紅葉狩り
日本には、古くから紅葉の美しさを愛でに野山へ出かける「紅葉狩り」の習慣がある。秋が深まり、木々が紅や黄に染まると、多くの人々が山や寺院、神社などへ紅葉狩りに出かける。紅葉の名所が数多い京都の中でも、東福寺は渓谷を埋める紅葉の美しさで知られる。
七五三
男児は5歳、女児は3歳と7歳のときに、子どもの成長を祝う行事。この日、親は盛装させた子どもを連れて神社に参拝する。七五三に欠かせないものが、「千歳飴」。子どもたちが手に持つ袋の中に細長い千歳飴が入っている。飴をひっぱるとのびるように「寿命がのびる」という縁起物。
神無月
栗の焼き菓子
栗の蜜煮を栗の餡で包み、焼き上げたもの。この季節には、全国各地でさまざまな種類の栗菓子が出回る。
稲刈り
秋の澄んだ青空のもと、重そうに実をつけた稲穂が黄金色に輝く頃、稲刈りが始まる。日本の秋の伝統的な風景だ。現在は機械化が進み、多くの水田では稲刈り機での収穫が一般的となっている。
運動会
小学生にとって「秋の大運動会」は一大イベントである。全学年が赤と白の2組に分かれ、かけっこ、リレー、玉入れ、綱引きなどを競い合う。また、子どもたちは何週間も前から練習に励み、応援に駆けつけた家族の前で、組体操や踊りなどの演技を披露する。
長月
おはぎ
蒸した餅米を餡で包んだもので、彼岸の供物に用いる。ハギの花に似ていることからその名がついたという。
台風(二百十日)
9月初めの「二百十日」は、2月4日頃の春が始まる日「立春」から210日目。稲が開花する時期にもあたるが、台風がよく襲来するので、風害が起きないように祈る祭りが各地で行われてきた。北西太平洋上で発生する台風は、中心付近の最大風速が17.2m/s以上となる熱帯低気圧で、風害や水害、高潮などの被害をもたらす。強風でなぎ倒された木々。
十五夜
旧暦8月15日の夜の月は、一年を通じ最も美しいといわれる。その「十五夜」には、団子やサトイモ、酒、ススキなどの秋の草花を供え、月見をする。地域によっては、祖先の霊を祀ったり、秋の収穫に感謝したりする祭りとあわせて営まれるところもある。子どもたちが供物を盗むことを歓迎する習慣もあるという。
防災の日
1923年9月1日に起きた関東大震災の教訓を生かそうと、1960年に制定された記念日。また、台風が多発する時期とも重なるので、地震や台風などの自然災害に備えようとの意味がこめられた。この日は日本各地で自治体が中心となり、消防機関、地域住民、企業などが参加して防災訓練が行われる。
葉月
水ようかん
寒天と餡をようかんより少なめにして作る水ようかんは、水分が多く、のどごし爽やか。暑い季節でも食べやすい。
五山の送り火(京都市)
16日の夜、京都を取り巻く山々では、祖先の霊を送るため、文字や船などをかたどった火が灯される。中でも大文字山の「大」の字が最も有名で、この行事全体が「大文字焼き」とも呼ばれている。
青森ねぶた(青森市ほか)
重さ4トンにもなる、和紙の人形「ねぶた」の周りを「ハネト」と呼ばれる踊り子が乱舞する。「ねぶた」の迫力と6日間で延べ20万人にも及ぶ「ハネト」の熱狂はすさまじい。
文月
水草・清流
緑鮮やかな水草を表現したらくがん(米粉と砂糖などを練って固めたもの)と、清流を模した有平糖。
土用の丑の日
日本の伝統的な暦でいう「土用の丑の日」は、7月半ばの最も暑く、湿度も高い日にあたる。そんな時こそ、栄養価に富んだウナギの蒲焼を食べたい。甘辛いタレに浸したウナギを焼く香ばしい匂いが街に溢れ、ウナギ屋の店頭には長い列ができる。もっとも、この習慣は、18世紀にウナギの販売促進のために考え出されたという。
隅田川花火大会
日本の夏の夜空は花火で彩られる。なかでも東京の下町で催される隅田川花火大会(7月最終土曜日)は、18世紀からの伝統を持つ夏の風物詩だ。1960年代から70年代にかけて、川の汚染や家屋の密集などから一時中断されたが、78年に復活し、毎年、数十万人の観客を動員している。
水無月
アジサイ
サイコロ状に切った薄紫色のようかんで白餡の芯を飾り、アジサイの花を表す。みずみずしい季節感に、梅雨の憂鬱を忘れる。
入梅
6月を中心とした約1カ月半は、北海道を除く日本列島の雨期「梅雨」である。梅雨に入ることを「入梅」「梅雨入り」という。境内に多くのアジサイが植えられ、“アジサイ寺”と呼ばれる鎌倉の明月院。雨の中で咲くアジサイは、この季節を表す日本的な風景である。
皐月
かしわ餅
餅で餡を包み、かしわの葉でくるんだもの。5月5日の端午の節句に食べる。
鯉のぼり
黒い真鯉は父親、赤い緋鯉は母親、小さな青い鯉は子どもたちを、そして五色の吹き流しは家を意味し、あわせて幸せな家族を表している。「端午の節句」に男児の出世、健康を願って立てる。
葵祭
1000年以上つづく京都の上賀茂、下鴨両神社の祭り。5月15日、平安時代の装束をまとった総勢500余名の行列が、馬、牛車を引き、輿を担いで京都御所から下鴨神社、上賀茂神社へと向かう。
母の日
5月の第2日曜日の「母の日」に向けて、大量に出荷されるカーネーション。日本では「母の日」に母親へ赤いカーネーションを贈って感謝を表す習慣がある。近年はピンクや黄などの色も人気。
卯月
花見団子
蒸した米粉を杵でつき、餡でくるんだり醤油でつけ焼きにして食べる団子。19世紀頃、花見客に供したのが評判となった。
花見
サクラが開花すると、東京の上野公園などサクラの名所には連日大勢の人が訪れる。美しい花をただ見るだけではなく、サクラの下で飲んだり、食べたり、騒いだりするのが日本流の花見。毎年気象庁からサクラの開花日予想が発表されるほど、淡いピンク色の花を日本人は心待ちにしている。
プロ野球開幕
日本で最も人気のあるプロスポーツであるプロ野球は、セントラル・リーグ6チーム、パシフィック・リーグ6チームによる2リーグ制。開幕から10月に行われる日本一決定戦の日本シリーズまで、長い戦いに入る。仙台市のフルキャストスタジアム宮城。
春の味覚
春の味覚といえば、タケノコ。竹の地中の茎から出た若い芽で、先端が地表に現れるころ掘り出す。タケノコのほかにも、タラの芽、セリ、フキノトウ、ウドなどを使った山菜料理は、春の訪れを感じさせてくれる。