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くじらぐも

四じかんめの ことです。
一ねん二くみの 子どもたちが
たいそうを して いると、空に、
大きな くじらが あらわれました。
まっしろい くもの くじらです。

「一、二、三、四。」
くじらも、たいそうを はじめました。
のびたり ちぢんだり して、
しんこきゅうも しました。
みんなが かけあしで
うんどうじょうを まわると、
くもの くじらも、空を まわりました。

先生が ふえを ふいて、
とまれの あいずを すると、
くじらも とまりました。

「まわれ、みぎ。」
先生が ごうれいを
かけると、くじらも、空で
まわれみぎを しました。
「あの くじらは、きっと
がっこうが すきなんだね。」
みんなは、大きな こえで、
「おうい。」
と よびました。
「おうい。」
と、クジラも
こたえました。

「ここへ おいでよう。」
みんなが さそうと、
「ここへ おいでよう。」
と、くじらも さそいました。
「よし きた。くもの
くじらに とびのろう。」
男の子も、女の子も、
はりきりしました。

みんなは、手を つないで、わに なると、
「天まで とどけ、一、二、三。」
と ジャンプしました。でも、とんだのは、やっと
三十センチぐらいです。
「もっと たかく。もっと たかく。」
と、 くじらが おうえんしました。
「天まで とどけ、一、二、三。」

こんどは、五十センチぐらい とべました。
「もっと たかく。もっと たかく。」
と、くじらが おうえんしました。

「天まで とどけ、
一、二、三。」
その ときです。
いきなり、かぜが、みんなを
空へ ふきとばしました。
そして、あっと いう まに、
先生と 子どもたちは、
手を つないだ まま、くもの
くじらに のって いきました。

「さあ、およぐぞ。」
くじらは、青い 青い
空の いっぱい
すすんで いきました。
うみの ほうへ、
むらの ほうへ、
まちの ほうへ。

みんなは、うたを
うたいました。
空は、どこまでも
どこまでも
つづきます。

「おや、もう おひるだ。」
先生が うでどけいを
みて、おどろくと、
「では、かえろう。」
と、くじらは、まわれみぎを
しました。


しばらく いくと、がっこうの
やねが、みえて きました。
くじらもは、ジャングルジムの
うえに、みんなを おろしました。

「さようなら。」
みんなが 手を ふった
とき、四じかんめの
おわりの チャイムが
なりました。
「さようなら。」
くもの くじらは、また、
げんき よく、
青い 空の なかへ
かえって いきました。