真っ黒なお母さん猫から、子猫が生まれました。
真っ黒な子猫が三匹と、
真っ白な子猫が一匹です。
みんなお母さんのおちちを飲んで、どんどん大きくなりました。
あるとき白い子猫のしろちゃんは、
自分だけが真っ白なことに気がつきました。
「嫌になっちゃうな。どうして僕だけ白いんだろう。
お母さんだって兄さんたちだってあんなに綺麗な黒い毛なのに」
しろちゃんは技と転がったり、
体を擦りつけたりして、
白い毛を過ごしでも
黒くしようとしました。
元の真っ白な毛にされてしまうのでした。
ある日、お母さんが子猫たちに言いました。
「今日はお父さんが帰っていらっしゃるから
綺麗にして待っておいで」
兄さんたちは大喜びしたが、
しろちゃんは自分だけ白いのが恥ずかしくて、
そっとうちを抜け出しました。
途中でしろちゃんは何を見たでしょう。
しろちゃんの何倍もあるような、
大きくて真っ白い猫でした。
しろちゃんはすっかり嬉しくなって、
あとに付いて歩き出しました。
驚いたことにその猫は、
しろちゃんのうちの前でとまりました。
お母さんが、
「子供たちや、
お父さんが帰っていらっしゃったよ」
と言いますと、兄さんたちが飛び出して来ました。
お父さんは、三匹の黒い子猫を嬉しそうに見ました。
そして、
「これで全部かね」
とお母さんに聞きました。
「いいえ。お父さんの後ろにほら、しろちゃんが」
お父さんは、真っ白なしろちゃんを見て、とても嬉しそうでした。
でも、一番嬉しかったのはしろちゃんでした。