昔、ある所にお祖父さんとお祖母さんが住んでいました。お祖父さんは山から竹を取って来て、色々な物を作って、売っていました。
ある日、お祖父さんは不思議な光を出している竹を見つけて、切りました。中には小さな、可愛い女の子がいました。子供がいないお祖父さんとお祖母さんはとても喜んで、女の子に「かぐや姫」という名前をつけて、大切に育てました。かぐや姫はどんどん大きくなって、とても綺麗になりました。
美しいかぐや姫のことを聞いて、男達が結婚を申し込みに来ました。
「どうぞ、かぐや姫と結婚させてください。」
お祖父さんはかぐやかぐや姫に男達の気持ちを伝えましたが、かぐや姫は結婚したくないと言いました。
「私がお願いした物を探して来た人と結婚します。」
と言って、男達を遠い国へ行かせました。かぐや姫が男達に頼んだ物はとても珍しくて、探すのが大変でした。
1人はインドへ仏の石の鉢を探しに行きました。1人は東の海にある山へ行って、宝石で出来た木の枝を取って、来なければなりませんでした。1人は絶対に燃えない鼠の皮の着物を探しに中国へ行きました。1人は竜の首の玉を、1人は燕が持っている珍しい貝を取って来なければなりませんでした。しかし、3年過ぎても、誰も頼んだ物を持って来ることが出来ませんでした。無理なことをして、病気になった男や死んでしまった男もいました。
天皇もかぐや姫が好きになり、妻にしたいと思いました。何回も手紙で気持ちを伝えましたが、「はい」と言わせることは出来ませんでした。
そして、又3年が過ぎて、夏になりました。かぐや姫は毎晩月を見て泣くようになりました。
「かぐや姫、どうしたの?」
「私はこの世界の者ではありません。月の世界から来たのです。次の満月の晩に月へ帰らなければなりません。それで、とても悲しいのです。」
びっくりしたお祖父さんは天皇に「かぐや姫を帰らせないでください。」とお願いしました。満月の夜、天皇は沢山の兵隊にお祖父さんの家を守らせました。しかし、夜中に家の周りは不思議な光でいっぱいになって兵隊達は何も見えなくなりました。月から車が迎えに来たのです。かぐや姫が乗った月の車は空を飛んで行きました。
ところで、かぐや姫は帰るときに、お祖父さんたちに贈り物をしました。それは「不死の薬」でした。しかし、お祖父さんとお祖母さんはとても悲しんで、薬を飲まないで、死んでしまいました。天皇はかぐや姫がいない世界で生きていても、意味がないと思って、高い山の上で薬を焼かせました。それから、その山は「不死の山」から「富士の山」、そして、「富士山」という名前になったのです。