くんくんは、小さな茶色の子犬です。
黒い、ぱっちりした目。
たらんと垂れた耳。
鼻は、冷たくて、湿っています。
ある朝、くんくんが、
窓から外を見ていると、
おや、あれは、ぽっくるとんの奥さん。
隣に立って、泣いています。
「どうしたんですか。ぽっくるとんの奥さん?」
今の今まで、ここで遊んでたのに。」
「心配しないで、奥さん。
僕、友達に聞いてみます。
きっと誰か知ってますよ」
くんくんは、すぐ飛び出しました。
「かたつむりさん、小さな女の子をお見かけになりませんでしたか?」
「いいや、見なかったね。美味しそうな木の葉なら見たが、そのほかはなんにも。」
枝に、小鳥が2羽、止まっていました。
「どこかで、女の子を見なかったかい?」
「いいえ。お父さんが、ご馳走を運んで来るのは見たけれど、そのほかはなんにも。」
「小さな女の子を見ませんでしたか?」
丘で、兎の奥さんにも聞きました。
「一日、うちにいましたのでね。うちの5匹の赤ん坊のほかは、誰も。」
このとき、くんくんの鼻先を風が、すーっと吹きすぎました。
くんくん、くんくんくん。
「おや、僕の鼻がなにが言ってるぞ。」
こっち こっち。鼻が教えてくれる方へ走って行くと、公園に来ました。
そこに、迷子のすーきーが!
ほっぺたは、涙でくしゃくしゃ。
「もう泣くんじゃないよ。さあ、僕の背中にお乗り。お母さんのところまで、走って連れてってあげるよ。」
すーきーが、くんくんの背中の乗って、無事帰って来たのを見て、ぽっくるとんの奥さんは、大喜び。
「まあ、なんて親切なくんくんさん。」
くんくんは、あんまり走ったのですっかりくたびれました。
ぐっすり眠ったくんくんを、
すーきーちゃんは、しっかり抱っこ。